防災に必要な備蓄品とは?必要なアイテムや準備のポイントについて解説

この記事では、防災の知識が無い方でも安心して始められるように、子どもがいる家庭・一人暮らし・高齢者、それぞれに合わせた防災備蓄品を分かりやすくご紹介します。

今日から少しずつ、あなたの生活に合った「もしもへの準備」を始めていきましょう。

1.なぜ防災備蓄が必要なのか?

①災害後すぐには支援が届かない

突然の地震や台風、大雨など…日本で暮らす以上、災害への備えは避けて通れません。「備蓄した方がいいのは分かるけど、何をどれくらい準備すればいいの?」と、迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。

災害発生後、被災地に救援物資が届くまでには、どうしても時間がかかってしまいます。

テレビのニュースで、避難所の方々が「まだ物資が届いていません」「水が足りなくて困っています」と切実に訴えかける姿をよく目にします。

行政や自衛隊の皆さんも懸命に支援活動を行ってくださいますが、やはり被災地に到達するまでには時間がかかってしまうものです。だからこそ、私たち一人ひとりが最低でも3日間は自力で乗り切れるだけの備えを、日頃からしっかりと準備しておく必要があると思います。

②ライフラインが止まる可能性がある

私たちが毎日何気なく使っている電気や水道が、災害によって突然止まってしまったとしたら。その時改めて「普通の生活」がどれほど有り難いものだったかを痛感するのではないでしょうか。

蛇口をひねっても水が出ない、スイッチを押しても電気がつかない。そんな状況に直面すると、誰もが不安や混乱に陥ってしまうものです。でも、もし事前にしっかりとした備えが出来ていれば、そうした心の動揺を大きく和らげることが出来ると思います。 

特に、小さなお子さんや高齢のご家族がいるご家庭では、「大丈夫、備蓄があるから」という安心感が、家族全体の心の支えになってくれるはずです。子どもたちの不安そうな顔を見なくて済む、おじいちゃんおばあちゃんに心配をかけずに済む。

「自分や家族のために出来る事から」と考える事で、備蓄の準備も自然と前向きに取り組めるのではないでしょうか。

2.基本の防災備蓄品!まずは「水と食料」から! 

人は水と食料が無いと生きていけません。災害が起きてから数日間、場合によっては1週間近くも外部からの支援を待たなければならない状況を考えると、「水と食料品を備蓄しておいて本当に良かった!」と心から思えるはずです。

まずは誰にでも必要な「水と食料品」を準備していく事から始めましょう。

①備蓄品の目安:最低3日分、推奨1週間分

支援物資が被災地に届くまでには、道路状況や被害の規模によって、思っている以上に時間がかかってしまうものです。そんな現実を目の当たりにするたびに、「やはり最低でも3日分、出来れば1週間分は備えておかないと」という思いが強くなります。

もちろん1週間分となると量も多くなりますが、その分「これだけあれば大丈夫」という心の余裕も生まれてくるのではないでしょうか。自分や家族の笑顔を守るための投資だと思えば、決して無駄な準備では無いと私は思います。

②水

飲料水として1人あたり1日3リットルが目安になります。一般的なミネラルウォーターで大丈夫ですが、ミネラルウォーターの賞味期限が気になる方もいるかと思います。そんな時は長期保存水がおすすめです。

長期保存水の保存期間は商品の種類によって違いがありますが、5年から15年くらいです。

③食料品

レトルト食品・缶詰・乾パン・フリーズドライ食品など、調理不要でそのまま食べられるものが良いでしょう。また、お湯や水を入れるだけで食べられるアルファ化米も、長期保存が出来ておすすめです。

アルファ化米の賞味期限は一般的には製造から5年ですが、商品やメーカーによって異なります。商品パッケージの表示を確認し、直射日光や高温多湿を避け、常温で保管しておくのが良いと思います。

④非常用持ち出し袋

非常用持ち出し袋に必要なものをまとめて枕元や玄関に準備をしておく事で、災害が起きてもすぐに持って避難する事が出来ます。自分に合ったアイテムを用意し、重すぎて背負えないことが無いように、持てる重さを調整しながら準備すると良いです。

3.子どもがいる家庭の防災備蓄品

子どものいる家庭では、大人用とは別に、子どもの年齢や発達に合わせた備えが必要です。

①食料品

・非常食

子ども用の非常食として、お菓子・ゼリー・ベビーフード(離乳食)など、普段から食べ慣れているものがあれば、お子さんも安心して過ごす事が出来ます。お子さんの成長に合わせて、栄養バランスを考えながら揃えましょう。

②ミルク

・液体ミルク

液体ミルクはそのまま常温でも飲ませることが出来るので、万が一停電や断水の状況で水やお湯が無くても安心です。実際、能登半島地震後には、被災地以外でも自宅などに液体ミルクを備蓄しておきたいというニーズが高まっています。国内で販売されている液体ミルクは9か月から1年半、保存が可能となっています。

液体ミルクと違い、粉ミルクを飲ませるには準備に時間がかかります。哺乳瓶を消毒し、粉ミルクを計量し、お湯や水で溶かして冷ましてから、といった手間がかかります。 災害時にこうした作業を行うのは難しいのではないでしょうか。

・哺乳瓶・使い捨て哺乳瓶

使い捨て哺乳瓶は必要な時に開封してすぐに使えるのでとても便利です。授乳が終わったらそのまま処分も出来ます。通常の哺乳瓶と違い、使う前の洗浄や消毒といった手間がかからないから、パパやママも楽ですね。

③衛生用品

紙おむつ

実際に被災された方のお話を聞くと、「おむつがなくなってしまって、本当に困り果てた」という声をよく耳にします。大人なら多少の不便は我慢出来ても、小さな子どもにはそれが出来ません。

おむつが濡れたままでいると、かぶれや感染症の心配もありますし、何より子どもが泣き続けることで、避難所などでは周りの方にも気を遣ってしまいます。

支援物資としておむつが届くまでには時間がかかりますし、サイズが合わないこともあります。普段使っているブランドと違うと、赤ちゃんの肌に合わずにかぶれてしまうこともあるでしょう。そう考えると、子どもの成長を見越して少し大きめのサイズも含めて、たっぷりと備蓄しておく事が、子どもとご両親の安心と笑顔につながります。

・おしりふき

おしりふきは、子どものおしりを清潔な状態に保つためにとても大切です。アルコールタイプのおしりふきは殺菌効果もあるため、衛生面でも安心ですね。清潔な状態を保つことで二次感染も予防出来るので、おしりふきは災害時の感染症対策に欠かせないアイテムです。

・おむつ用ごみ袋

おむつ用ごみ袋は防臭効果が高く、ごみが捨てられない状況でも臭いを防いでくれるので助かります。災害時にごみ収集が不可能な場合や、自宅や避難所での一時保管がやむをえない時でも臭いによるストレスが軽減されるので、精神的にも楽ですね。

・着替え・衣類

着替えや衣類は、お子さんの清潔を保つためにも最低3日分以上、出来るだけ多めに用意しておけば安心です。災害後の慣れない環境で不安になっている子どもが、汚れた服のまま過ごさなければならない状況はかわいそうです。

小さな子どもは体温調節が苦手ですから、気温の変化に合わせて服を調整してあげる事が本当に重要です。避難所は冷暖房が十分でない事も多く、薄着のままでは風邪をひかせてしまうかもしれません。

清潔な着替えがある事でお子さんは少しでも普段と同じような安心感を得ることが出来ます。子どもの健康と笑顔を守るために、着替えの備蓄は絶対に欠かせないものです。

・ウェットティッシュ

 

④その他のアイテム

・おもちゃ・絵本

ウェットティッシュは全身を拭くことが出来るのでとても便利で、お子さんの清潔を保つのに役立ちます。除菌が出来るアルコールタイプと、子どもの肌にやさしいノンアルコールタイプの両方を用意して、用途に合わせて使いましょう。

お気に入りのおもちゃやがあれば、少しの時間でも夢中になって遊び、その瞬間だけは災害の不安を忘れる事が出来るかもしれないですし、何度も読み返せるお気に入りの絵本があれば、その時だけは笑顔になってくれるかもしれません。

おもちゃや絵本は子どもの心のケアのために、不慣れな避難生活での不安を少しでも和らげるためにも大切なアイテムだと思います。

・抱っこ紐

抱っこ紐は子どもの安全を確保しながら両手が使えますので、パパやママの精神的な安心感が高まります。ポーチに収納出来るようなコンパクトな抱っこ紐や、リングスリングなどがおすすめです。

⑤常備薬

・解熱鎮痛剤・整腸剤

子どもは大人以上に環境の変化に敏感で、避難所での慣れない生活や不安から熱を出してしまったり、お腹を壊してしまったりする事もあるかと思います。そんな時に手元に解熱剤や整腸剤があれば、パパとママの不安も和らぐのではないでしょうか。

災害時は医療機関も被災している可能性があるので常備薬があれば、とりあえずは安心感につながります。子どもの普段の体調や体質を一番よく知っているのはご両親です。

かかりつけの小児科で相談して、災害時用の薬を準備しておく事は、本当に大切な備えだと感じています。子どもの健康と、ご両親の安心のために、常備薬の備蓄は絶対に欠かせないものだと思います。

4.一人暮らしの防災備蓄品

一人暮らしの場合、災害時に助けを求められる人が近くにいない可能性があります。そのため、自力で数日間を乗り切るための備えが特に重要です。

①非常用持ち出し

非常用持ち出し袋をあらかじめ準備して、枕元や玄関などに置いておけば、災害発生時にすぐに持って避難する事が出来ます。両肩で背負えるリュックタイプにする事で、避難時に両手が使えるので便利です。

②食料品・水

災害時には物流が停止し、お店から食料や水が無くなる事もあります。そんな時でも、備蓄した食料と水があれば数日間は安心して過ごせます。支援が届くまでの自分の命をつなぐ大切な命綱になります。

食料品と水は、最低3日分は確保しておきたいです。ローリングストック法(普段から食べているものを少し多めに買い置きし、使った分だけ補充する方法)を取り入れると、無理なく備蓄出来ると思います。1週間分の備蓄があれば、なお良いのではないでしょうか。

③モバイルバッテリー・ラジオ

モバイルバッテリーや手回し充電式ラジオは、災害時の情報収集や通信手段を確保するために重要です。

特に手回し充電式ラジオは、災害時の混乱によってインターネットが使えない状況になった場合でも、電波が届く所であれば放送を聞く事が出来ますし、正確な情報を収集出来ます。手回し充電式なので電池切れの心配がほぼ無いので安心です。

④携帯トイレ・簡易トイレ

携帯トイレ・簡易トイレがあると、災害時に停電や断水が起きた時にトイレが使えなくなった場合でも安心です。水や食料品と同様にトイレの備蓄も大切です。

避難所にトイレがあっても、災害時には使用できない可能性が高いです。また、支援が来るまでには時間がかかるため、仮設トイレもすぐには設置されません。

1日あたりの平均的なトイレ使用回数の目安は5回となっています。1週間分の備蓄をするためには、「人数×排泄回数5回×7日間」となります。

あくまでも目安ですが、一人暮らしなら35回分のトイレ備蓄が必要になります。

個人差はありますので、自分が1日何回位トイレに行くのか把握しておく事が大切です。

⑤笛・ホイッスル

笛やホイッスルは、災害時に救助を求めるためにとても重要です。倒壊した建物に閉じ込められた場合や、がれきに挟まれて身動きが取れない状況でも、笛やホイッスルを吹く事で救助隊や周囲の人々に居場所を知らせる事が出来ます。

笛やホイッスルは少ない力で遠くまで大きな音を出す事が出来る重要なアイテムです。大声で長時間助けを求め続けるのは体力を消耗し、のどを痛める原因にもなりますが、笛やホイッスルなら少ない息で大きな音が出せるため、体力を温存する事が出来ます。

また、電池や充電がいらないため、いざという時に使えないというリスクがありません。軽量でコンパクトなため、普段から鍵やバッグに付けておくと便利です。

5.高齢者向けの防災備蓄品

高齢者がいる家庭では、身体的な負担を減らすための心配りと健康を維持するための備えが大切です。

①食料品・水

・やわらかい食品

おかゆ、ゼリー飲料、介護食など、高齢者には消化しやすく常温で食べられる柔らかいものや、栄養バランスの取れた食料品を備蓄することが不可欠です。また、普段から慣れ親しんだ味の食べ物がある事で、不安な気持ちも少しは和らぐのではないでしょうか。

入れ歯の調子が悪かったり、飲み込む力が弱くなったりしていると、普通の非常食では食べる事すら困難になってしまいます。高齢者は災害時に必要なエネルギーや栄養素を十分摂る事が出来ずに健康状態が悪化する可能性がありますので、脱水症状や栄養不足を起こさないためにも事前の準備が大切です。

・水

高齢者にとって水分補給は、私たち若い世代以上に大切な問題です。年齢を重ねると喉の渇きを感じにくくなり、気づかないうちに脱水症状を起こしてしまうリスクが高まります。特に災害時のストレスや慣れない環境では体調を崩しやすくなるものです。

普通の水だけでなく、経口補水液やスポーツドリンクの備蓄も重要だと思います。下痢や嘔吐で体調を崩した時、ただの水では十分な回復が望めません。また、薬を飲む時にも清潔な水が必要ですし、入れ歯の洗浄にも使います。

高齢者は重いペットボトルを運ぶのも大変です。給水車が来ても、若い人のように何度も往復することは難しいでしょう。だからこそ、事前にしっかりと水を備蓄しておき、手の届きやすい場所に分散して保管しておく事が大切です。

水は1人あたり1日3リットルを目安に最低3日分、出来れば7日分(21リットル)の備蓄が望ましいです。

②薬品・衛生用品

・常備薬

高齢者の薬の問題は最も心配な部分です。血圧の薬、糖尿病の薬、心臓の薬など、毎日欠かさず飲まなければならない薬を服用している方がほとんどです。これらの薬が数日間でも切れてしまったら、命に関わる事態になりかねません。

災害時には病院も被災していたり、道路が寸断されて通院が出来ない場合があります。かかりつけの薬局も営業していないかもしれません。そんな時に、お薬手帳と一緒に最低でも1週間分の薬が備蓄してあればとても安心です。

・お薬手帳

高齢者にはお薬手帳の準備も大切です。お薬手帳は処方薬の情報だけでなく、アレルギー歴や既往歴も記載されているため、避難先での診療時に正確な情報を伝えるのに役立ちます。

  

・入れ歯洗浄剤

高齢者の入れ歯洗浄剤は口腔内を清潔に保つために非常に重要です。避難生活による水不足や不衛生な環境下で口腔内を清潔に保つ事で、誤嚥性肺炎や感染症のリスクを高めるのを防ぐ事が出来ます。 

高齢者は免疫力が低下しているため、口の中の細菌が増殖し肺に到達する事で、肺炎を起こしやすいため、入れ歯洗浄剤は肺炎予防に重要です。洗浄剤があれば、少ない水でも効率的に入れ歯を洗浄出来ます。

・大人用紙おむつ

大人用紙おむつがあれば、高齢者の身体機能の低下に対応が出来ます。避難生活でトイレまでの移動が難しい場合や、自力で排泄のコントロールが出来ない場合に役立ちます。普段使っているものを1週間分以上用意しておけば安心です。

 

・尿取りパット

尿取りパットがあれば、不意な尿漏れによる不快感や不安を軽減し、快適な睡眠と清潔な環境を維持する事が出来ます。尿取りパットが無いと清潔が保てず、皮膚炎や尿路感染症などの健康被害を招く恐れがありますので、備蓄しておく必要があります。  

 

・ウェットタオル

ウェットタオルがあれば、断水で入浴出来ない際の身体の清拭、衛生状態の維持、感染症の予防、精神的な快適さにつながります。厚手で大判サイズのウェットタオルは背中まで拭く事ができ、高齢者の身体を清潔に保つ上で非常に役立ちます。

肌にやさしい無香料・ノンアルコールタイプを選ぶことで、肌への刺激を最小限に抑える事が出来ます。

③その他のアイテム

・補聴器・眼鏡の予備

高齢者にとって補聴器や眼鏡は、情報収集や周囲の状況把握、避難生活の安全性確保のために極めて重要です。普段の生活で使用しているこれらのアイテムが無いと、情報が遮断されたり、転倒などの危険にさらされる可能性があります。

避難所や避難場所では、災害情報や避難指示がアナウンスされることがあり、補聴器が無いと、これらが聞き取れず危険な状況に身を置く可能性があります。

普段使っている補聴器や眼鏡のスペアを用意しておけば安心です。補聴器には電池も必要ですので、予備の電池や充電式の場合は充電器も必ず準備しましょう。

・防寒グッズ

高齢者にとって寒さは大敵です。防寒対策をしっかりと充実させておく事が、高齢者の命を守る事につながります。体温が下がりすぎると免疫力が低下し、風邪をひきやすくなったり、持病が悪化したりする危険性があります。

災害時に最も恐ろしいのは、暖房が使えなくなる事です。特に冬場の災害では避難所も十分に暖房が効いているとは限りません。床からの冷気、隙間風、薄い毛布一枚では高齢者の身体は本当に辛い状況に置かれてしまいます。

だからこそ、使い捨てカイロや電池不要の湯たんぽ、重ね着できる衣類の備蓄は絶対に欠かせないと感じています。毛布も薄いものを何枚も重ねるよりは、保温性の高いアルミシートや羽毛の入ったものを用意しておきたいものです。

足元の冷えも深刻な問題です。厚手の靴下や室内履き、レッグウォーマーなど、足を温められるアイテムがあるだけで、体感温度は大きく変わります。高齢者にとって冷えは大敵ですから、「これでもか」というくらい防寒対策を充実させておくことが、命を守ることにつながると思います。

・身分証明書のコピー

高齢者が災害時の混乱で自身の状況をうまく伝えられない場合に、身分証明書は本人の身元を証明する事ができ、情報伝達を助けます。免許証や、マイナンバーカード、健康保険証などの身分証明書は災害時に持ち出せるように、まとめて1か所に保管しましょう。

6.まとめ:防災備蓄は「もしも」のための大切な準備

防災備蓄の準備は、家族構成やライフスタイルに合わせてカスタマイズする事が重要です。

まずは基本的な、水・食料・生活用品から始め、徐々に充実させていきましょう。定期的な点検と更新を行い、いざという時に役立つ備蓄を維持する事が大切です。

防災備蓄は、災害に直面した際の不安を軽減し、ご自身や大切な家族の命を守るための大切な行動です。災害への備えは一度準備したら終わりではありません。家族の成長や生活の変化に合わせて、安心出来る防災体制を築いていきましょう。

 

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